会長挨拶

平成29年を迎えて

会長 山口 秀範

あけましておめでとうございます。
皆さまお揃いで、穏やかなお正月をお迎えのこととお慶び申し上げます。

 年末年始に、平成29年を占うTV番組で必ず登場したのが、アメリカのトランプ次期大統領の「Make America great Again!」という刺激的な映像で、先行きの予想がつかない不安感を煽っていました。しかし考えてみれば、それぞれの国のリーダーが国民に向かって「我が国を偉大にしよう」と呼びかけるのは至極当たり前であり、私たちも「Make Japan greater in future!」と「将来にわたって日本をもっと素晴らしい国にする」ことを確認し合い、決してトランプ氏に負けない気概で新年に立ち向かっていきたいものです。
大切なのは「great」の中身でありましょう。私たちが誇れること、これから目ざすものは何かとgreatの中身について思い巡らせながら、年頭御発表の両陛下のお歌を元日の新聞で拝しました。

 天皇陛下の御製として5首ご発表のうちの1首は次のお歌です。

 満蒙開拓平和記念館にて
戦の終りし後の難き日々を面おだやかに開拓者語る

 満蒙開拓団に応募して、戦前大陸に渡り新天地を目ざしたに人々は、敗戦によって命からがら祖国日本に戻り、その後長野県の南部に入植・開墾して戦後復興に寄与しました。今はその記念館があり、昨年の11月に両陛下は行幸啓されて開拓者の人々とお話を交されたのです。
(「難き」「おだやか」「開拓」「語る」と、「か音」の連続で坦々とした響きの中に、却って筆舌に尽し難い苦難を思い遣られた陛下のお気持ちが伝わって参ります)
今は穏やかに語る面差しに、戦前戦後の苦労がにじみ出ています。そしてそれは開拓者だけでなく、私たちの前の世代全ての日本人が力を尽くして再建した、そのお陰で現在の日本があることを、時々思い出すことが大切でしょう。

 皇后陛下の3首の御歌のうちには次のお歌がありました。

 神武天皇二千六百年祭にあたり 橿原神宮参拝
遠つ世の風ひそかにも聴くごとく樫の葉そよぐ参道を行く

 初代神武天皇の崩御から2600年を迎えたと神話で伝えられる昨年の4月に、両陛下は大和の橿原神宮をご参拝になりました。樫の木の生茂る参道には春風が葉擦れと共にそよぎ、それはあたかも遠い神々の御代の風音を聴くようだと、しみじみ懐かしんでおられるお歌でしょう。

 先ほどの「Make Japan greater」のgreatの中身についてのヒントが、この2首のお歌に示されていると気づかされます。悠久の歴史の中で私達の祖先は、豊かな自然と共生し万物に生かされていることに感謝しつつ暮して来ました。そこに住むお互い同士は競い合い、時にはいさかいも起しますが、しかし大方は助け合い支え合って、心を通わせながら国土郷土を護ったのです。
その長い歴史のなかで唯一、西洋と戦い敗れて占領されるという未曽有の事態を、70年前に経験しました。焦土の中からそれを跳ね返し、今日の繁栄を築いた民族の力は私たちの誇りです。と同時に、当時の積み残しの荷物――占領後遺症と呼ばれるもの――がまだ片付いていないかもしれない。日本人は今、そんな所に立っていることを再認識したいものです。

 正月3日のBS放送で「欲望の資本主義」という番組があっていました。肥大化した市場経済の行き詰まりに警告を発する内容でしたが、人間のあくなき欲望を制御し、ブレークスルーし得る糸口として、次の3つを示唆されたように受け止めました。

  1. 歴史に学ぶ
  2. 利己主義を緩和する他人への思いやり、共感、共生などの大切さ
  3. 技術革新(イノベーション)

 [1]と[2]はまさにご紹介した両陛下のお歌が、目ざすべき道を照らして下さっています。私たちが祖先から受け継いでいる歴史と伝統に根ざしたグローバルな活動、競争と共生を両立させ得るビジネスの展開が、今後の日本人の使命であると期待されています。
[3]のイノベーションにしても、自分だけが利益を独占するよりは、補い合い分かち合いながら技術革新の果実を広く共有することを求められているようです。

 この番組を観ながら私は、40数年に亘り福岡中経協が追い求めて来た理念は、上述の3点に見事に合致していると我が意を得る思いでありました。
福岡中経協は昨年天神のエルガーラビルに事務所を移しました。より便利に、また気軽にお立ち寄り頂ける環境が整い、各委員会は活発で地道な活動を続けています。そして引越しを機に呼びかけた「会員拡大キャンペーン」も功を奏し、昨年末には会員数407社に達しました。皆様方のご尽力に改めて感謝申し上げます。 勿論会員数は一つの指標で、問われるべきは言うまでもなく「実質」であります。より一層賑やかに、相互のビジネスチャンスを拡げ、経営力を高めるお手伝いを出来るよう、会の事業を充実させて参ります。
やがて迎える創立50周年を視野に入れつつ、「Road to 50th !――地域活性化の牽引力 未来を拓く中経協」を合言葉に、これからも「福岡の発展のために」そして「九州から全国を動かす」うねりの一端を担いたいと念じております。

 引き続き、会員各位の積極的なご参加をお願いし、新年のご挨拶と致します。

平成29年1月
一般社団法人 福岡中小企業経営者協会

会長 山口 秀範

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