経済界、文化面の両方で
一翼を担う博物館の意気込みを熱く語る

独立行政法人国立博物館 九州国立博物館長
三輪 嘉六 氏

東京・京都・奈良に次ぐ、4番目に設立された国立博物館として、2005年10月16日の開館に向けて準備が進む「九州国立博物館」。
地域社会に開かれた「生きている博物館」を実践することが期待されるとともに、今までにはない文化活動と経済活動の役割を担う意義も大きい。開館に向けての意気込みを館長である三輪氏に語っていただいた。

所属学会/文化財保存修復学会(会長)、日本考古学協会、日本考古学会、NPO法人文化財保存支援機構理事長等 専門分野/考古学、文化財学。
   
濱 谷

三輪館長ご就任おめでとうございます。本日の講演をお聞きいたしまして、「日本文化の形成をアジア史的観点から捉える」というすばらしいコンセプトはもちろんですが、三輪館長が経済界と文化面の両方で九州国立博物館の役割を考えておられ、親しみを感じました。

三 輪

これまで博物館というと、どうしても学術とかそういう面が表面に出ていました。もちろん、そのこと自体は間違いではありません。しかし、例えば、経済と文化の結びつきですとか、今までみんなが目を伏せてきたことにも新しい展開があるのではないかと思うのです。

濱 谷

文化を経済の面からとらえるというのは、今までにない新しい視点ですね。

三 輪

我々も経済の中で支えてもらわなければならない部分がたくさんあります。文字通り、様々な種類の経済界からいくつかの提案をいただいたり、お叱りをいただいたりということが、館の発展にとってもこれからは必要ではないかと思っています。みなさんに育ててもらえる博物館でありたいと思っています。

濱 谷

そのために何か具体的にお考えのことはございますか?

三 輪

いくつかありますが、子ども達を大切に育てていくというのが一つです。これは一見、経済とは遠いことのように思われますが、次世代の主人公である子どもたちは、経済界で言うと、大事な消費者であり、経済の基礎が形成される重要な部分だと思うのです。そういう人たちを育て、大事にしていくということです。例えば、私たちの館は平成15年に竣工式を迎えたのですが、通常、竣工の建物に大臣や知事さんがいらして、「定礎」と書きます。当館ではそれを子どもに書いてもらいました。私たちの、次世代を担う子どもたちをこれからどう位置づけていくかという意気込みの表れです。中学1年生のお子さんに書いてもらい、大理石に彫ってもらって埋めています。

濱 谷

中学1年生が「定礎」を書かれたのはすばらしいことですね。お話の中に文化は経済力であるというお言葉があり、観光を商品として航空会社とホテルと大宰府の観光地、トンネルを抜ければ3分で博物館という企画や回数券の発行という提案をされたり、アフター5にパーティを開いたりという企画をお聞きし、新工夫にとても驚きました。まさに九州国立博物館を通じて、経済界と文化面がつながりますね。

幅広い対応ができる博物館
三 輪

私どもは、独立行政法人国立博物館ということでこれまでの博物館のあり方と一味違った展開を社会的にも求められています。

三 輪

今までの博物館、美術館はどちらかというと経済の面は置いてきぼりをくっていました。日本人は働き蜂でありモーレツ社員が多く、文化なんて目もくれませんでした。しかし、外国に遊びに行ったり、出張に行ったりすると、ルーブルに寄ったり、メトロポリタンに寄ったりするわけです。メトロポリタンはよかったけれど、九州国立博物館はまだ見ていないという構造は決して文化的ではないと思うのです。これから海外勤務や出張、もしくは、海外の方をお呼びする場面では、ますます考えられると思うのですが、自国の文化的なアイデンティティーや文化の基層をいかにしっかり説明できるか。それは企業人として最低の教養と申しますか、一番ベーシックで大切な部分だと思うのです。そういう部分でも一翼を担い、企業等の研修や勉強の場として活用していただけるように幅広く対応できる博物館でもありたいと思っています。

濱 谷

見るだけでなく、みんなが参画できるというのは楽しい場所ですね。

三 輪

私は博物館というのは楽しくなければ博物館ではないと思っています。

濱 谷

私も女性グループで見学に行き、昼食会などをできたらいいなと思っています。ワクワクしますね。

三 輪

そういう整備もしていかなければならないし、外国からのお客さんも接待できる場所でなければならないと思っています。まさに居心地のいい文化的空間を幅広い層に提供していく。海外の方にも胸をはって自慢できるといいと思っています。博物館ですと、どんなものを展示なさいますか?とか金印や源氏物語はありますか?などと聞かれますが、それに関しては、我々はこれから努力しますとしか言いようがない。それ以上に一つの文化をみなさんが多角的に楽しめる形を提案していきたいと思います。

濱 谷

福岡からの発信ばかりでなく、世界からも人々を呼び寄せるわけですね。ガラス張り、耐地震の建物が世界一というのも誇りに思います。

三 輪

わくわくドキドキする博物館を目指しています。

濱 谷

何度も足を運べる博物館になるよう期待しています。博多人は文化人だと自負していますので、私たちも足を運んで楽しんでいきたいと思います。本日は楽しいお話をありがとうございました。

三 輪

思いの丈の一部しかお話できませんでしたが、これからもよろしくお願いいたします。


<聞き手・左>
社団法人福岡県中小企業経営者協会
(ホテイ製薬株式会社 代表取締役)

理事 濱谷 としゑ 氏

『TALK&TALK』過去の記事を見る
トップページへ戻る

福岡県中小企業経営者協会
福岡市博多区博多駅前2-9-28福岡商工会議所ビル1F
TEL092 -451-8593 FAX092-451-9379