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中経協ニュース2009年12月号

東アジアの中間層がターゲット。
特にサービス、環境分野に期待大。

日本貿易振興機構(JETRO)理事
山田 康博 氏

貿易・投資の促進と海外情報の収集・分析を通じて、日本の経済・社会の発展に貢献しているJETRO。理事の山田氏に、日本と世界の経済状況を概括していただいた上で、中小企業にとっても今後のビジネス展開の大きなカギとなる東アジアの情報や経済動向、さらに海外ビジネスを成功させるためのポイントなどを語っていただいた。

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昭和47年大阪外国語大学卒業、日本貿易振興会入会。通産省への出向や海外駐在をはさみながら、経済情報部、企画部、事業統括部、海外調査部などでヨーロッパ、アジアを中心に、経済情勢や市場の調査、日本企業への情報提供・支援を続けてきた。海外調査部長、ハノイ・センター所長、総務部長を経て、平成20年より現職。

 世界経済危機の影響で、世界経済は今年、戦後初めてのマイナス成長になると言われております。ただ、各国の財政支出に支えられて、来年は数字が一様にプラスに向かうと予測されており、今後は米国経済もやや上向くというのが一般の見方です。しかし、来年にはもう一度底割れがあるのではないかという二番底論を唱える著名な経済学者もいますので、予断は許しません。中国は中央政府と地方政府、合わせて4兆元(約55兆円)のカンフル剤を打ち、さらに7兆元規模の銀行貸出をゆるめました。それらの融資が不良債権化する恐れ、バブル化への不安など、いろんな問題は指摘されていますが、2012年の共産党総書記交代も概ねスムーズにいき全体的に中国の活況は今後も続くのではないかと見られます。

 米国への自動車・家電輸出依存度が高まっていたがために予想以上の打撃を被った日本も、来年にはわずかながらプラスに転じるという予測です。しかしながら日本は、少子高齢化が非常なスピードで進んでおり、将来の人口減、国内市場縮小にどう対処するかという根本的課題が重くのしかかっています。ここで少し日本の貿易・投資の状況をお話ししますと、まず貿易立国でやってきたにもかかわらず、日本の輸出のGDP比は16%で、先進国の中では低い部類に入ります。内需とともに外需の拡大もまだまだ必要です。そうした中、近年はアジアとの貿易が増え、食料の輸出が増えているという変化が見られます。対外投資は大型の企業買収などにより増えておりますが、日本への投資は昨年でわずかにGDP比3.6%しかありません。海外の営業利益は、昨年12月~今年3月期、初めて国内の営業利益を上回りました。その4割がアジアの収益で、アジアが日本企業の業績の下支えをしているということになります。

 鳩山総理も東アジア共同体を打ち出していますが、こうした状況から、今後、日本の国内市場が縮小する中でも、EPA(経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)などによって市場のバリアを取り、シームレスにするアジア地域の経済統合が進めば、日本国内市場縮小のネガティブ・インパクトを最小化できるという効果が期待できます。中小企業の皆さんも、海外に活路を見出すのが共通の課題となってくるでしょう。そこで、今後、海外ビジネスを展開していく上でポイントとなるキーワードをまとめてみました。

 第一のキーワードは「東アジア新興国」です。アジアの所得が上昇し、日本の対アジア販売総額は、すでに対全世界の37%に達しています。中国だけでアメリカ並みに販売額が上昇すると見込まれています。第二は「ボリューム・ゾーン」、つまり中間層のことです。世界銀行は4000~1万7000ドルの年間所得層としていますが、この層が近年、世界で4億人から10億人に増加しています。10億のうち5割が東アジア・太平洋地域の人々です。アジアの中間所得層は、高齢化が著しい日本と違って若い層が多く、ターゲットとして大いに期待できます。第三は「サービス」。アジア新興国では、これからサービス市場が伸びていきます。特に中国はもともとサービスという概念自体がなかった国です。高品質できめ細かな日本的サービスが、小売、運輸、建設、レストラン、人材派遣など幅広い業種で受け入れられ始めています。第四は「環境」。世界の環境ビジネス市場は605兆円の規模があると言われております。日本は大気汚染や水汚染への対策などで一日の長がありますが、これから伸びるのは再生可能エネルギーや低炭素関連の分野です。

 次に、近年「チャイナ・プラス1」の有力国として注目を集めているベトナム情報を少し紹介させていただきます。ご承知のように社会主義国で、人口は8600万人。まさに中国の一周遅れで物事が進んでおり、持続的成長路線を歩んでおります。今年は約5%の成長が見込まれ、ホーチミン市では一世帯あたり1万ドルの購買力がありますので、世界同時不況下でも物は売れ続けています。地理的にも東アジアの真ん中にアーチ状に位置し、インドシナ~メコン地域の産業大動脈構想もありますから、今後、大きく飛躍する可能性は大です。また、ベトナム人の能力の高さ、非常に義を大切にする気質もポイントです。恩を忘れませんので、中小企業も誠心誠意のパートナーシップを築いていけば、裏切られることはありません。実際、日系企業の進出も目立って増えています。日本とはODA、今年10月発効のEPA、ビジネス環境改善のための日越共同イニシアチブ、投資協定などで結びついており、東アジアの中で、日本にとって最も多岐にわたる重層的な関係ができております。皆さんもぜひ現地を見て、ベトナム市場でチャレンジしていただきたいと思います。

 地方の中小企業が海外に販路を開いたり、生産拠点を置いて成功している事例、また独自のコネクションを築いて輸入ビジネスを軌道に乗せた例はたくさんあります。成功のポイントは、四つのキーワードを意識することに加え、企業の体力、情報収集、創意工夫、独自の技術、そしてグローバル人材の育成といったことになると思います。我々JETROもさまざまな形で企業の海外活動を支援しておりますので、ご相談ください。





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