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中経協ニュース2009年10月号

新幹線と新博多駅ビル開業を機に、
九州一体となった魅力アピールを。

九州旅客鉄道株式会社 代表取締役社長
唐池 恒二 氏

九州新幹線鹿児島ルート、および新博多駅ビルの開業を1年半後に控えたJR九州に期待と注目が寄せられている。唐池社長の講演は「気」「誠実」をキーワードとする経営信条、九州新幹線と新博多駅ビルの概要、新幹線効果を見据えたJR九州の取り組み、日本各地やアジアからの観光客誘致戦略にまでおよんだ。

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昭和28年大阪府生まれ。昭和52年京都大学法学部卒業、日本国有鉄道入社。総務・人事畑を歩き、民営化後は船舶事業部、外食事業部、経営企画部などで手腕を発揮。関連会社のJR九州フードサービス(株)取締役社長を経て、平成15年より取締役として営業、経営企画などを統括し、平成21年6月社長就任。福岡大学講師も務める。

 私は長年JR九州で仕事をしている間に、博多と釜山を結ぶ高速船「ビートル」を就航させたり、「ゆふいんの森」や「あそBOY」といったJR九州を代表する列車の企画・コンセプト・ネーミングを手がけたり、JR九州フードサービスでは「うまや」という炭焼創菜料理店を東京に5店舗作って成功させたりと、いろいろな仕事をしてまいりました。それぞれに違ったしんどさがありましたが、私がめざしている会社像とも通じる部分がありますので、まず、どうすれば食べ物屋が繁盛するかという話をしたいと思います。

 食べ物屋の経営に関して、私が言い続けていることが大きく二つあります。一つは「FL60」です。Fはフードコスト、つまり食材原価のことで、Lはレーバーコスト、人件費です。売上げを100とした場合、普通のレストランはFが30程度でして、業態が違っても、FとLを足して60以上だと赤字、以下なら黒字です。もう一つは、店を繁盛させるのは「気」だということです。 元気、活気、気合い、気迫の「気」です。

 気を集める要素は四つあります。第一は動き。てきぱきした動きとスピードです。第二は声。元気な明るい声、あいさつです。JR九州のサービス39カ条のうち、電話はドレミファソのドの音でなくソの音で応対せよという項目がありますが、トーンも大事です。第三は、お客様に隙を見せない緊張感を持つこと。そして第四は貪欲さ。あと一人を迎え入れ、あと一品を売り、そして自分や店を向上させようという貪欲さです。 以上の四つがある店には気が集まり、お客さんを呼べます。

 私は6月の社長就任時に、誠実な会社であろう、成長と進化をめざそう、それから気に満ちた会社を作ろうと挨拶しました。人より気を集めた人、気に満ちあふれた人が成功し、その職場や会社や店が繁盛するんです。魅力的で人を呼べる町づくりも、町に気をあふれさせること、そして誠実さが重大なキーポイントだと思います。

 さて、九州新幹線鹿児島ルートが1年半後の2011年春に開業し、博多~鹿児島中央間は1時間20分で行けるようになります。山陽新幹線とも直通運転を行い、新大阪~鹿児島中央間は4時間、新大阪~熊本間は3時間20分に短縮されます。東京~岡山が新幹線で約3時間ですが、この区間は飛行機利用が4割、新幹線が6割ですから、現在、9割以上が空路利用の大阪~熊本も、開業後は新幹線の利用が増える期待大です。また、京阪神から九州に向かう人を100とすると、広島と岡山でも100いますので、京阪神だけにターゲットを絞らないことが大事です。熊本、鹿児島の人にもそう言っていますし、我々もそれを意識して行動していきます。

 新幹線の車両には、新大阪~鹿児島中央を直通運転する「さくら」と、九州内だけ運行する水戸岡鋭治さんデザインの「つばめ」がありますが、この縦のラインに加え、面として新幹線効果を高めようと、熊本から鹿児島・宮崎へ、いろんな面白い列車を走らせております。八代~人吉に「SL人吉」、人吉~吉松にはレトロな赤い「いさぶろう号・しんぺい号」、鹿児島~隼人~吉松には世界でも珍しい黒い列車の「はやとの風」、鹿児島~指宿には黄色い「なのはな」、そして10月10日からは宮崎~南郷に内外装に飫肥杉を使った「海幸山幸」を走らせます。その途中にある城下町・飫肥は、その景観とともに町づくりの姿勢や人々の応対やあいさつなど、どれをとっても素晴らしく、誠実な町づくりを体現していると思います。ぜひ一度訪れていただきたい町です。

 それから九州新幹線と同時に開業する新博多駅ビルは、地下3階地上10階、延べ床面積20万㎡で、縦横とも旧博多駅ビルの2倍、延べ床面積は約7倍の建物になります。そのほとんどすべてが商業施設で、阪急百貨店と200店の専門店街、東急ハンズ、レストラン街、シネマ・コンプレックス、イベントホールが入ります。また、環境についてもいろいろ配慮しているほか、千住博画伯のディレクションにより、ロビーには皆さんに描いていただいた葉っぱの絵を1万4000枚の有田焼のタイルにして張り巡らせます。

 新博多駅ビルにこれだけの商業施設が入るということで、天神VS博多という見方をよくされますが、アジアから日本を訪れる観光客80万人を考える時、ライバルは東京、札幌、京都、大阪、名古屋であり、さらには上海や台湾、香港、ソウルです。天神と博多が手を取り合って初めてよそに対抗できるし、勝てる可能性も生まれるのです。さらには、すばらしい自然や歴史・文化を持つ九州全体で一体となって、アジアから九州へ人を呼び込む取り組みをしなくてはなりません。私はそれが九州の一番の救いの元になるのではないかと考えています。





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