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中経協ニュース9月号

感謝を原点に、笑顔と元気で「日本一働きたいスーパー」を目指す

(株式会社ハローデイ 代表取締役社長
加治 敬通 氏

今年、創業50周年を迎えたスーパーマーケット「ハローデイ」は、着実な成長やユニークな店舗が注目され、全国から視察が相次いでいる。倒産の危機を乗り越え、17期連続増収増益を成し遂げた加治社長に、経営姿勢の原点や独特の店づくり、今後の事業展開などについてお話をうかがった。

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1964年京都郡苅田町生まれ。駒澤大学経営学部経営学科卒業。静岡県の食品スーパーにて研修後、1989年(株)ハローデイ入社。1992年サービスセンター商品部長、1994年代表取締役専務営業本部長に昇格し、同開発本部長を経て、2007年代表取締役副社長開発本部長。2008年6月から現職。

【池内】

創業50周年おめでとうございます。「日本一視察の多いスーパー」だとお聞きしていますが、その理由はどこにあるのでしょうか。

【加治】

まず、17年連続で増収増益が続いていること。そしてやはり店のユニークさでしょう。今、この業界で売上げが良いところはディスカウントばかりなんですが、ハローデイは、たとえば福岡市姪浜店のクジラのディスプレイのように、飾り付けや見せ方が楽しくて独特だと言っていただいています。グループの40店舗、それぞれが違ったタイプで個性的です。

【池内】

どういうきっかけで飾り付けを始められたんですか?

【加治】

平成7年でしたか、ある店舗の改装オープン2~3日前の夜、大の大人が何人か集まって、メーカーさんからもらった人形をどうやって飾るか、実に楽しそうにガヤガヤ言ってたんです。それなら一人1万円ずつ出すから、明日買い物に行って、青果や精肉、鮮魚といった部門ごとに自由に飾りつけてみなさい、一番うまくできたところには食事をおごってあげる、と。それが始まりでした。お客様を喜ばせるためではなく、働いている人たちが楽しむことが先にあったわけです。基本的に働いている方が楽しければ、お客様にいろんな提案ができるし、お客様を喜ばせることができるはずだというのが、私どものモットーなんです。

【池内】

笑顔と元気、感謝と感動がハローデイさんのキーワードですが、私がこちらに伺って驚いたのは、取引先への感謝もしっかり形にされていることです。こうした意識はどこから出てきたのですか?

【加治】

感謝の原点は「3本の指事件」です。私が入社した20年前、会社は倒産寸前でして、取引先も納品を渋るような状態でした。私も仕事をしない従業員を辞めさせたり、鬼になって寝ずに仕事をしましたが、一方で、会社をつぶさずに済んだのは自分ががんばったからだという自負も大きかったんですね。そんな時、知り合いのある社長さんに「社員も取引先も助けてくれない、経営者は孤独だ」とこぼしましたら、「辞めていった従業員や取引先が悪いと指さす時、その指のうち3本は自分を指してないか」と言われました。相手を指さすと、中指、薬指、小指の三本は自分の方を向きますよね。そして「そんな会社でも商品を納めてくれる会社があり、働いてくださる方がいるのに、あんたは目の前の悪いもんしか見てないだろうが!」と一喝されて、一度に目が覚めたんです。だから「業者」なんて言えません。「お取引先様」です。

【池内】

社会貢献活動もたくさんされていますが、それも感謝が原点なんでしょうね。

【加治】

そうですね。5年前から毎年、営業利益の中から1,000万円を寄付しています。寄付先を選ぶのはお客様です。レジのうしろに乳ガンとか森林、子育て・青少年育成などのボックスを設け、お客様にレシートを投票していただいて、その比率によって寄付を分配する仕組みです。昨年と一昨年は、盲導犬が20数%と非常に多かったのですが、不特定多数のお客様の意見を汲み取ろうと、今年は乳ガンに入れ換えました。

【池内】

目的も金額も明確で、企業と利用者が意識を共有した社会貢献活動は珍しいと思います。今後は少子化で消費者の数自体も減少していきますが、何か戦略をお考えですか。

【加治】

どんなに人口が少なくなっても、食べる物は必要です。だから、時代とお客様に合わせて、店も規模や場所を見直しながら、出店、撤退、統廃合を考えることになっていくと思います。競争も激しくなるでしょうが、私どもがもっとお客様の立場になって物事を考え、お客様により優れたサービスをできる企業になったら、よその会社がどうあろうが生き残れると考えています。

【池内】

最後に、今後の事業展開や目標についてお聞かせください。

【加治】

一度つぶれかかった経験をしていますから、規模は追いません。店が増えると忙しくなって、仕事がおもしろくなくなりますしね。 実は5年ほど前に上場しようとしたことがあるんですが、上場に向けた準備をするうちに「会社はこうあるべきだ」みたいな変な意識が社内に出てきて、仕事が楽しくなくなってきたんです。そこで、何のために仕事をするのか、この会社は何のために存在するのかという原点に立ち戻って、上場をやめました。 ですから、従業員の方はもちろん私も「日本一働きたいスーパー」になるのが目標です。

【池内】

その決断は素晴らしいですね。本日はいいお話をいろいろありがとうございました。

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<聞き手>
(社)福岡県中小企業経営者協会 理事
㈱テノ.コーポレーション 代表取締役社長
池内 比呂子 氏



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