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中経協ニュース2009年6月号

「弛(たゆ)まぬ変革」によって厳しい現況を乗り切り、意識を一つに将来ビジョンの実現をめざします。

西日本鉄道株式会社 代表取締役社長
竹島 和幸 氏

今回は、西日本鉄道(株)の竹島社長による講演抄録をお届けする。 九州を代表する企業である西鉄グループの現在、世界中が直面する厳しい経済状況に対応する今後の取り組み、そして将来めざす方向性についての講演内容からは、西鉄という企業グループの将来像のみならず、地域の新しい街づくりの姿も見えてくる。

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昭和23年生まれ、大分県日田市出身。昭和46年慶應義塾大学商学部卒業、西日本鉄道株式会社入社。主に財務・経理関係の仕事に従事した後、都市開発事業に携わり、都市開発事業本部長などを経て、平成20年6月より現職。

 西鉄は明治41年に北九州市で路面電車の運行を開始して以来、昨年、会社創立100周年を迎えました。西鉄グループは現在87社を数え、鉄道・バスの運輸事業を中核に、都市開発や住宅などの不動産業、スーパーマーケットなどの流通業、旅行業やホテル業など、相互にシナジー効果の高い、地域に密着した事業のほか、国際物流事業も行っております。乗合バス事業が日本最大の規模であることはご存じかと思いますが、私鉄の中でも最も多角化した事業構成であること、国際物流事業で海外21カ国66都市に拠点を持ち、九州では最もグローバルな事業展開をしている企業の一つであることなども特色であろうかと思います。  さて昨年6月、私が社長に就任した途端に原油高騰、リーマン・ショック、株価下落、世界不況と立て続けに大変動が起きました。これまでは多角的な事業展開のおかげで、一部の不振を他の事業でカバーできていましたが、今度ばかりはどの事業も収益が落ち込んでいます。そこで、収益力回復のために3つの重点対策を考えております。第一は事業構造の改革で、採算性の悪化した事業の立て直しと、それに合わせた事業再編、不採算事業の縮小・撤退を進めていくものです。第二は資産の圧縮です。不況で低下した利益水準に比べて有利子負債が大きくなり過ぎないよう、分譲住宅在庫の早期回収と、グループ保有の低収益物件や遊休地の売却などを推進していきます。第三の対策は、積極的な増収対策ときめ細かな業務経費の削減です。  後ろ向きの対策ばかりの印象があるかもしれませんが、こういう時にこそ将来に備えてやるべきこともたくさんあると思います。 たとえば、リスクマネーの流入で上昇していた土地価格が、このところ適正水準にまで下がり、新しい開発を行う条件が整ってきていますし、厳しい時だからこそ、思い切った改革や新事業の芽が出てくるチャンスと考えております。具体策として、宿泊特化型ホテル「西鉄イン」の着実な全国展開、天神大牟田線の二日市~朝倉街道間の新駅開設、新駅隣接地のシニアマンション建設、国際物流では、今後に備えた中国、メキシコ、チェコなどでのネットワーク拡充を進めていくことにしております。  また、今後の成長拡大のためには将来へのビジョンと戦略が大変重要です。昨年10月に策定した「西鉄グループ将来ビジョン2018」では、グローバル化の進展や、人口減少、少子高齢化、低炭素化社会の到来などの大きな変化に対応するためには、自らの変革が最重要であることから、テーマを「弛(たゆ)まぬ変革~高品質・高付加価値の追求」といたしました。こうした環境変化の中、私たちは今後も①CSR経営を推し進め、お客様や地域からの信頼向上を図ること、②商品・サービスの質を高め、地域との関係やグループ連携を強化して競争力を高めること、③成長市場や新事業に経営資源を集中配分し、グループの事業価値を高めていくこと、を基本方針とし、将来は、交通・街づくり・流通をコア事業とする「地域マーケットビジネス」と、グローバルな事業展開のコアとしての「国際物流ビジネス」とで構成する「ツイン・ビジネス・ユニット」をめざして成長していきたいと思っております。  この将来像を実現するために、「地域マーケットビジネスの高品質化・高付加価値化」「国際物流ビジネスの積極展開」「新しい価値創造への挑戦」「持続的成長を支える人材力の向上」という4つの重点戦略を掲げました。いくつか特徴的なものをご紹介いたします。まず「バスのIT化」です。これまでも、時刻表検索システム、バスナビ、デジタルタコグラフの導入などを行ってきましたが、特に5月昨年より導入したICカード「nimoca」については、1年後に、JR九州さん、福岡市営地下鉄さん、JR東日本さんと相互利用が始まり、利用者数が大きく伸びることを期待しております。また、地域の魅力向上のため、沿線の「まちづくり」に積極的に取り組んでいきたいと思っております。すでに天神では、エリアマネジメント組織「WeLove天神協議会」での活動や、再開発に向けた地権者協議会「天神明治通り街づくり協議会」の設立などを行っており、地域の魅力向上のため皆さんと連携しながら積極的な街づくりに関っていきたいと考えております。天神地区以外でも、北九州、久留米などでもグループの拠点を積極的に活用し、コンパクトシティを意識した中心市街地活性化に地域とともに取り組んでまいります。国際物流でも、今後は海外での三国間貨物の取扱量を増やすなどして、海外比率を7割以上にする計画です。また、今後のニーズに応え、空輸に加えて海運・陸送・倉庫を強化し、総合ロジスティクス・プロバイダをめざします。  企業の存在意義そのものが問われる時代になってきております。私たちは西鉄の企業理念である「顧客第一主義」「地域との共生」に立ち返り、スピード感を持った取り組みを行うことで、地域や社会のお役に立ちたいと考えています。よろしくお願いいたします。



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