会長挨拶
基本理念
組織図
各事業紹介
歴史
中経協ニュース
会員コラム
会員企業一覧
入会問い合わせ
アクセス
トップに戻る
福岡県エリア求人ナビ
市民教育賞表彰式
立志会

九州経済フォーラム
九州の女


中経協ニュース 2008年3月号

スポーツ経験、唱歌、古典を通じて 若い菓子職人の心と技術を育てる。

フランス菓子16区 オーナーシェフ
 三嶋 隆夫 氏

フランス菓子作り一筋を貫く現代の名工・三嶋隆夫氏は、その技術や味もさることながら、独自の経営哲学やユニークな社員教育でも知られ、2007年には後進育成の取り組みにより、福岡市の「市民教育賞(産業教育賞)」も受賞されている。100人以上の職人を育てた三嶋氏に、店と人づくりの原点をうかがった。

P1310941.jpg
(左)昭和19年福岡市生まれ。修猷館高校、流通経済大学を卒業後、帝国ホテルで菓子職人の道へ。ヨーロッパでの修業を終えて帰国後、昭和56年に「フランス菓子16区」を開店し、1店舗のみを守りながら技術の追究と後継者育成に尽力している。2005年「博多マイスター」、2007年「現代の名工」に選出される。
(左) (社)福岡県中小企業経営者協会 理事 北川 文雄 氏(福岡ケーブルネットワーク㈱ 代表取締役社長)
【北 川】

三嶋さんは高校まで野球、大学ではラグビーをおやりだったそうですが。

【三嶋】

僕は、自分の歩き方はすべてラグビーから学んだと社員にもよく言います。トライは、皆がどうにかつないできた球を運んで、たまたま自分がゴールラインを切っただけだという意識なんですね。

【北 川】

そういう意味ではお菓子作りもチームプレイですね。。

【三 嶋】

そういうことです。昨日も焼きを失敗して、ああだこうだ言ってるのを「すぐ仕込みをやり直せ。それが先やろうが。終わってオーブンに入れてからなんぼでも言え」と怒りました。ラグビーではペナルティを取られたら、ぐだぐだ言う間に相手がパーッと来る。だから、状況を見てすぐ動け、言い訳はするなと。

【北 川】

私の妻が、体調が悪いとおいしい料理ができないと言うんですが、プロの方はなおさらでしょう。何か気をつけていらっしゃいますか?

【三 嶋】

僕は今も、腕立てと腹筋とスクワットを30回ずつ、毎朝やっています。お菓子作るのは体力がないとやれないし、考えることにも体力はいる。それと、プロかアマチュアかということでは、プロはほめられたことより、失敗した時のことをよく覚えていますね。失敗を覚えている人間は伸びます。肝心なのは、失敗をどうやって自分の中に取り組んで成長するかだと思います。

【小早川】

ところで、三嶋さんの会社では何かイベントがあるたびに「故郷(ふるさと)」を歌い、新入社員の歓迎会では「鯉のぼり」を歌うそうですが、これはどうしてでしょう。

【三 嶋】

福岡県洋菓子協会の会長を引き受けたときに始めてからです。それまで最後は祝目出度に手一本でしたが、筑豊や筑後の人は知らないでしょ。どうやろか、「故郷(ふるさと)」を歌いましょうかと始まりました。「故郷」の何がいいかというと歌詞ですよ。特に三番の「志をはたして、いつの日にか帰らん」。僕はあれだと思うんです。あの時代の歌は三番が“決め"ですね。

【北 川】

鯉のぼり」も三番ですか?。

【三 嶋】

そうですね。三番に「百瀬(ももせ)の滝を登りなば、たちまち龍になりぬべき」とあります。龍門の滝を鯉が登ると龍になるという中国の故事ですね。うちの新人歓迎の食事会なども、最後に「故郷」を歌うんですが、その前に僕が「鯉のぼり」の歌詞の説明して、決して歌はうまくないが、気持ちで歌うから聞けと、ずっと新人の目を見ながら歌うんですよ、三番まで。

【北 川】

昔の唱歌は文語でしょう? 意味が深いし、言葉が美しい。心に残るんですよね。

【三嶋】

おっしゃる通りですね。やっぱり古典を読ませんと。うちは、製造部門で入社が内定した人間に、『坂の上の雲』を読んで、400字詰め原稿用紙20枚以上の感想文を書けという宿題を出すんです。新聞もろくに読まない世代だから、全6巻を読むだけで大変ですよ。

【北 川】

お話をうかがっていると、三嶋さんの生き方そのものが会社経営に出ているなという気がします。

【三 嶋】

今の50人ぐらいの規模であれば、僕の体臭がプンプンする会社でありたいし、お客さんもそれを期待されていると思います。ミーティングでは意見もいろいろ出るけども、決定は僕がする。社員の意見を採り入れて決定して、それがうまくいかんこともありますよ。でも判断は僕がしとるんですから、社員にあやまって、さっと軌道修正するようにしてますね。

【北 川】

最後に、三嶋さんの味の原点は、お母さんのみそ汁だそうですが、そのお話を。

【三 嶋】

まあ、象徴的な意味でのみそ汁ですね。子どものころはガキ大将で始末が悪かったんですが、台所でお袋の料理の加勢をするのが好きやったです。当時は今みたいに便利な道具や調味料もないから、お袋は野菜でも魚でも、おいしいものをと気持ちを込めて一生懸命に作ってくれた。僕はそのお袋のDNAを受け継いで、この仕事をやれているかなと、そういう気持ちですね。



福岡県中小企業経営者協会
福岡市博多区博多駅前2-9-28福岡商工会議所ビル1F
TEL092 -451-8593 FAX092-451-9379