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中経協ニュース 2007年10月号

CSRは企業活動と経営姿勢そのもの。 会社の活性化に効く“漢方薬”です。

社団法人日本フィランソロピー協会 理事長
 高橋 陽子 氏

中小企業もCSR(企業の社会的責任)やフィランソロピーなどを身近なテーマとして考え、実践していかねばならない時代となっている。まだ馴染みの薄いそうした言葉の概念と企業にとっての意義を、わかりやすい言葉で高橋陽子氏に語っていただいた。

高橋理事長.jpg
岡山生まれ。津田塾大学学芸学部卒業後、高校教師を経てカウンセラーに。1991年から日本フィランソロピー協会に在籍し、常務理事、事務局長を経て2001年より理事長。著書に『フィランソロピー入門』『60歳からのいきいきボランティア入門』。
   
【大 野】

フィランソロピーという言葉がようやく知られ始めたようですね。

【高 橋】

もともと“人間愛”という意味です。それが寄付という意味で使われ現在は社会貢献と 訳されています。私ども日本フィランソロピー協会では、フィランソロピー活動を一人ひとりが活動やボランティアをしながら、責任と主体性を持って社会づくりに参加し、活力と温もりある質の高い社会を作っていくことだと考えています。

【大 野】

それにはやはり、ボランティアがスタートになるんでしょうか。

【高 橋】

それ以前に、人は生きている限り役割を持っている、ということを互いに認め合うことから始まるような気がしますね。人が生きる一番の火種は、子どもやお年寄りでも、障害のある方でも、自分が必要とされているという実感だと思います。その役割を自分らしく生き生きと果たすことができるよう支え合うことができればいいですね。お互いに迷惑をかけ合えるような社会が結果的に生きてて良かったと思える社会、皆が元気な社会ではないでしょうか。

【大 野】

日本の今の社会、特に企業社会に生きていると、それがなかなか難しいのではないんでしょうか。

【高 橋】

企業が社員の人としての多様性を理解しないと難しいでしょうね。社員がいろ んな形で社会参加し、さまざまな価値観を知り、新たな発想を企業の中に入れていけば結果的に企業にとってもプラスになります。それから、日本は企業も行政も人を管理する形で動いているけれど、管理されると人はその状態に甘えてしまうんです。各人が自分で決めて行動するようになれば、企業や地域を含めて皆が元気になれるし、子どもたちもそんな大人を見て、あんな大人になりたいと思いますよ。

【大 野】

私たちはリアリティのある、カッコいい大人にならなきゃいけないということですね。

【高 橋】

日本にはまず、カッコいいお金持ちが少ないですね。私は講演で「道徳なき経済は犯罪である。経済なき道徳は寝言である」という二宮尊徳の言葉を紹介しています。こういう活動と経済は常にせめぎ合いであって、その葛藤から逃げないでやっていくことが大事です。私どもの活動も「いいことだから」というお題目だけではダメで、一人ひとりの日々の暮らしや、豊かになりたいという想いは絶対に無視できません。でも、お金だけでもダメ。お金の稼ぎ方にも使い方にもいろんな道があるのだから、お金がいい道をたどって信頼とともに循環するのを見せられれば、皆がもっと夢を持って生きられると思います。

【大 野】

同じ企業でも、地方の中小企業ではフィランソロピーやCSR(企業の社会的責任)に対する意識はまだまだです。というか、生き残るのに必死で、そういうことを考える余裕がないんですね。大手企業も将来の社会のためにと考えてやっているところは少数だと思います。

【高 橋】

でも、ボランティアを含めてこういう社会参加は、企業を元気にしますよ。特効薬ではないけれど、じわじわ効いていく漢方薬として。ある大手企業は、毎年交通遺児を自然体験のキャンプに招待しているんですが、参加した社員の一人が「こういう機会を与えてもらって、会社にも、快く送り出してくれた所属長や仕事のフォローをしてくれた同僚たちにも感謝したい」と言うんです。その後、職場に帰って仕事の状況が厳しくても、その経験と想いがあるから「がんばろう」と自然に思えたんですって。まあ、そう単純ではないでしょうけど、社員のモチベーションを高めたり、コミュニケーションを円滑にする役に立つと思います。

【大 野】

日常の仕事とは違う世界でボランティアをすると、上司や同僚の普段と違う一面に触れられて、新しい関係も生まれてきますからね。 そういう場を提供するのも企業の役割かもしれません 。

【高 橋】

私はボランティアは恋愛と似ていると思うんです。ボランティアをやってみて、この人が待っててくれる、自分をあてにしてくれる、だから放っておけないと思うでしょう。むしろ仕事にもハリができるし、思いがけない発想や気づきも生まれるように思います。

【大 野】

中経協にも先頃CSR委員会ができまして、私がその委員長なんです。CSRは単に社会貢献を指すわけじゃなくて、誠実な商品づくりだとか、社員教育や能力開発も含めて日常の企業活動すべてであって、売上げにだって通じるものだと、これから会員に訴えていこうと思います。

【高 橋】

まさにそう。CSRは経営そのものがどうあるかということです。今、CSRが大きな流れになりつつあるのはいいんですが、会社にCSRの部署を作ったがために、CSRを一部署の仕事だと捉えてしまったり、部署内でもCSR報告書を作るのが仕事、みたいになってます。CSRは、社員が自分の会社や仕事に誇りを持つことが重要です。それが結果的に企業の競争力にもリスク回避にもつながります。そのためには、トップが哲学を持っていただきたいと思います。

【大 野】
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<聞き手>
(社)福岡県中小企業経営者協会
CSR推進委員会 委員長 大野 祐子 氏
㈱ビジネスリファイン 代表取締役社長

そうしたことを叫び続けていくのが、私たち委員会の、そして中経協という団体の役目ですね。お話を聞いて心強く感じました。ありがとうございました 。


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