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| 【西 舘】 |
子守唄はあまりにも当たり前にありすぎて、今まで掘り起こされたことがないんです。日本子守唄協会は、埋もれた子守唄の採譜や取材に走り回っていますが、それはまさに人間の再発見です。いつの時代にも変わらず人が守ってきたものがいかに大切か、活動を通じていやと言うほどわかりました。 |
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| 【平 山】 |
男性の方も子守唄イコールお母さんのようですね。母のぬくもりを思い出して。 |
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| 【西 舘】 |
本当聞いて泣く確立は男性のほうが多いですね。戦後の教育や価値観は、男性に母親を意識させるような振る舞いをさせてきませんでしたから組織を作るとか利潤を追って血眼になって働く中で、優しさや母性的なもの、余裕など、抜け落ちてきたものがあるんですよきっと。私が子守唄をやろうと思ったのも、人間を作る原点、つまり人のぬくもりや優しさ、思いやりとか規律とか、そういう大事なものを教えてくれる基本がなくなりつつあると感じたからです。私はそれを子守唄を素材に回避したいと思いました。なぜかというと、新たに素材を作るのは大変だけど、子守唄は暮らしの中に脈々とあったものですから、そのエキスを使おうと考えたのが最初の子守唄との結びつきでしたね。 |
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| 【平 山】 |
子守唄にも種類があるようですね。
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| 【西 舘】 |
種類ではなくて、あやす、遊ばせる、眠らせるといった観点からの区分けですね。その中でちょっと不幸なことには、子守唄は民族学的な観点で研究されていることが多くて、それが子守娘の悲しい奉公の話とイコールになっています。実はそんな負の部分はほんの一部でしかなくて、本質的に子守唄は、お母さんが子どもをゆっくり安心して眠らせたいと思って、自分はどんなに疲れていても、だっこして、おんぶして、添い寝してあげる中のつぶやきから生まれてきたものでたぶん普遍的なものでしょう。
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| 【平 山】 |
「島原の子守唄」や「五木の子守唄」は九州の代表的な子守唄だと思いますが、その負の部分の捉えられ方をしていませんか? 島原のは特に 「鬼の池ん久助どんの連れんこらるばい」と、人買いの名前を出して脅してますし、九州の子守唄全体が何か暗いイメージで捉えられているようで、残念なのですが。
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| 【西 舘】 |
おもしろいことに人買いの久助どんは作者の宮崎康平さんがお作りになった架空のもので、実在の人物じゃありません。竹田とか五木の子守唄は確かに子守娘の子守唄ですし、島原は完全にからゆきさんの歴史で、女性史の中では相当に哀しい部分ですが、それより九州にはかわいい唄、愛情あふれる唄がいっぱいあるんですよ。「あなたの生まれはいつの月、三月桜の咲くころよ、どうりでお顔が桜色」とか、壱岐にも「ね、ね、ね、ねねしな、こんぼいよ」というのがあるし、まさに子守唄の宝庫なんです。子守唄ですごいのは、唄う人の間違いやアレンジが否定されない、つまり著作権がないことですね。伝承というあいまいなものの中に成り立っているから、著作権をつけたら唄を伝えてきた人たちが唄えなくなっちゃいます。今の段階では著作権を与えてません。
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| 【平 山】 |
子守唄を唄うという雰囲気そのものがいいんですよね。
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| 【西 舘】 |
そう、結局そこなんです。時代を経て歌詞を聴いても何が唄われているかわからない人も多いと思いますけど、その旋律を聴いて胸がきゅっとなるのは、DNAの中に何か入っているからなんですよ。それに子守唄の中には、その土地の歴史や風景が盛り込まれています。それを通して日本中のふるさとが子守唄の掘り起こしをしてくれればいいなと思っています。そして、たとえば「かさね、香箱、はさみ箱、これだけ持たしてやるからね、二度と帰ってくるなよ」なんて、生まれた時から嫁にやる時のことを考えて子守唄にしてきたような、お母さんの想像力。想像力で唄をつぶやいていく、子守唄を作っていくことを、今
のお母さんの生活にも取り入れてほしいです。 CDで子守唄を聴かせても、子どものその時の状況はさまざまだし、CDの唄にはその場の感情による抑揚がありませんからね。
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| 【平 山】 |
私は孫に子守唄を唄ってやっているので、まだ2歳ですけど孫も唄っています。お母さんが子どもを抱いた時に、自然と子守唄が出るようになっていけばいいですね。
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| 【西 舘】 |
そんな環境が日本中にできたら、日本は変わりますよ。協会を作って7年目に入りますが、元首相の森さんをはじめ、政界や経済界にも私たちの活動を応援してくださる方たちがだんだん増えてきました。
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| 【平 山】 |
子守唄のDVDや映画も作られてますね。
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| 【西 舘】 |
DVDは5月には間に合います。榎木孝明さんの解説で安く出そうと思っています。映画は「河童のクゥと夏休み」というアニメ作品、制作に4年かかりましたが、この夏に公開されます。ぜひご覧になって、見終わったら親子で話してほしいですね。民族学的にも音楽としても、今、子守唄に注目を集めないと運動にはなりません。壱岐は神話の島ですし、壱岐のフォーラムで子守唄の「ご
神体」を作りたいと、準備中です。
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| 【平 山】 |
たくさんの方にご参加いただきたいですね。
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