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中経協ニュース 2006年11月号

国際情勢と安全保障のあり方が大きく変化している。 日本の安全、防衛政策にさらなる理解と関心を。

衆議院議員、前防衛庁長官
 額賀 福志郎 氏

額賀氏は小泉内閣で防衛庁長官を務め、米軍再編問題やイラクに派遣された自衛隊の撤収、北朝鮮の核開発疑惑など、山積する難題に敢然と立ち向かってきた。激変する国際情勢の下で国民の安全への意識も高まりつつある中、任期中の仕事、今後の自衛隊や防衛庁の展望などについてお話をうかがった。

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昭和19年茨城県生まれ、早稲田大学政治経済学部卒。 昭和53年から茨城県議会議員を2期務めた後、昭和58年に衆議院議員初当選。 以来、現在まで8期当選を果たし、その間、内閣官房副長官、防衛庁長官、 経済財政・IT担当大臣など内閣・自民党の要職を歴任。小泉内閣でも防衛庁長官の重責を担った。
小早川

額賀さんは日本の防衛政策と国際情勢が激変する時に、防衛庁長官を担当されました。振り返ってみて、どうでしたか。

額 賀

昨年、防衛庁長官を拝命した時に小泉総理に言われたのは、米軍再編問題をき ちっと片づけてくれということと、イラクに派遣している自衛隊を無事に撤収 する段取りを考えてくれということの2点でした。いずれも非常に難問でした。 米軍再編については抑止力の維持と負担の軽減がキャッチフレーズでした。防 衛力や安全保障力を落とさず、基地を減らし、基地の負担を減らすという二律 背反のような交渉をするわけですから、容易ではありませんでした。ただ、日 本はきちっと言うべきところは言って、日米双方とも理解の上で最終合意に至 りましたから、これが将来の新しい日米同盟の展望に結びついていけばいいな と思っております。

小早川

イラクにおける自衛隊の人道復興支援活動は、現地の方たちに随分喜んでいた だけたようですね。

額 賀

ええ、水の供給、医療支援、学校や橋の再建などの社会資本の整備を行ったわ けです。私がサマワを訪れた時には住民や子どもたちが目を輝かせて握手を 求めてきてくれて、成果を実感しましたね。撤収に際しては、イラクの人々に も多国籍軍にも感謝されつつ快く見送られることが大事でしたから、撤収期限 を決めてイラク政府と多国籍軍の説得に誠意をもってあたりました。2年半の 活動期間、イラクに向けて一発の銃弾を撃ち込むこともなく、また一人の犠牲 者も出さなかったことは奇跡的だと思います。

小早川

任期中は、ほかにも防衛庁関連でさまざまな事件が起こりましたが。

額 賀

本当に次から次へと問題が起こり忙しかったです。防衛施設庁の不祥事やコン ピュータ・ウイルスによる機密情報の流出、さらに北朝鮮ミサイル発射と、い ろいろありましたね。それぞれが日本の安全保障にとって非常に重要なテーマ ですから、しっかり受け止めてチャレンジした結果、何とかやり遂げることが できたかなと思っております。

小早川

我々も額賀さんがこの時期に長官で良かったと思います。最近は安全保障に関 する考え方や対応の仕方が、世界的に変化していますね。

額 賀

環境が変わってきていますからね。日本はサリン事件や阪神淡路大震災、北朝 鮮の核疑惑を経験した90年代半ばから新日米安保共同宣言に沿って周辺事態 法を作り、有事法制、国民保護法制を作りました。アメリカも9・11事件をき っかけに対応を変えています。テロでも国と国との戦争より以上に被害が大き く出る場合がありますし、むしろ軍と軍じゃなくて民間を直撃することですか ら、従来の安全保障とは違った形の対応を迫られたんですね。

小早川

日本の自衛隊にとっても、それこそ戦後60年で初めての出来事ばかりですが。

額 賀

国内各地に自衛隊の基地があります。米軍の基地も含めて、国民にどう理解し てもらうか、日米の基地がどのように連携していくのかといったことは、安全 保障の基本的な部分ですよね。現在、防衛施設庁の事件を契機に防衛庁全体で 査察体系を作り、組織の大変革を行って二度と過ちを起こすことのないように 国民の信頼回復に努めております。また、最近は日本の国民と国家を守るとい う自衛隊本来の役割以外に、災害復旧や国際平和協力活動の仕事がますます増 えております。さらに信頼のおけるしっかりした組織を維持していくためにも、 防衛庁から防衛省への昇格法案を通していただけるよう法案を提出していま す。その際には国際平和活動も国民防衛と同じく、本来の任務として明文化し たいと思っているんです。

小早川

そうなると隊員の志気が一層高まるでしょうね。

額 賀

防衛省への昇格法案は、昭和39年に一度国会に出されたけれども、結果的に は廃案にされてしまいましたからね。いわば長年の悲願ですよ。

小早川

今回の北朝鮮への対応は、国民にかなり評価されたんじゃないかと思うんです。 今の国民の反応というか、安全保障に対するバランス感覚というのは、非常に 良くなりましたね。

額 賀

そうですね。かつては日本人の安全についての意識は稀薄でしたけれど、今は 安全や治安、それから安全保障についても、かなり関心を持ってきているんじ ゃないですかね。残念なことに地域の治安が乱れて、学校だって生徒が安心し て通えないという状態ですから、そういうことと連動しているんですよね。家 や学校の安全も地域の安全も全部、国の安全に連動するんです。

小早川

本当にそうですね。自衛力にしても、私は人間の免疫力と一緒だと思うんです。 外敵が入ってきたら免疫力で退治してしまわないと、自分がやられますから。 そういう意味では地域も学校も国も、一つの生命体として延長線上にあるわけですね。


   
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<聞き手>
(社)福岡県中小企業経営者協会
会長 小早川 明德 氏
(福岡産業振興協議会会長)



福岡県中小企業経営者協会
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