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中経協ニュース 2007年1月号

雇用延長、出生率上昇、教育基本法改正などが実現。2006年は日本史に残る転換点になるかもしれません。

福岡県知事
 麻生 渡 氏

福岡県を率いて12年目となる麻生知事は、「公正と奉仕」を基本姿勢に県財政の健全化や柔軟な行政システムの確立、広汎な青少年教育施策、自動車産業、ベンチャー育成をはじめとする産業振興等に取り組まれており、ダイナミックかつ安定感のある施策、正義感あふれる政治姿勢には県民の信頼も厚い。全国知事会の会長としても活躍されている知事に、2006年を総括していただいた。

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昭和14年北九州市戸畑区生まれ。昭和38年京都大学法学部卒業、通商産業省入省。各部署でキャリアを積み、特許庁長官を経て平成7年福岡県知事に初当選。現在3期目。平成15年九州地方知事会長に就任、平成17年2月から全国知事会会長を務める。
   
【小早川】

2006年も暮れてまいりました。本日は知事の目で今年の日本を総括していただければと思います。

【麻 生】

私は、今年はおそらく日本史に残るような年になるんじゃないかと思っています。その理由の一つは、今年の4月に施行された高齢者雇用安定法ですね。この法律で65歳までの定年延長か継続雇用を企業に要請したところ、最初はなかなか難しいという反応でしたが、実際には見事に普及いたしました。今は2年ぐらいの継続雇用が主ですけれども、今後は65歳定年の方向へ動くことになりそうです。団塊の世代が退職して労働力が不足し、技術の伝承もできないという、いわゆる'07年問題も、私はもう起こらないと思います。

【小早川】

今は60歳と言いましても若いですからね。

【麻 生】

以前は人間が65歳まで働けるとは想像もできませんでしたが、現在は、我々の知力や体力は実際の年齢の「七掛け」と言われていますね。だから、70歳は七掛けで50歳ぐらいです。そのような実態を反映して、65歳まで働いて当然の社会へと日本が変わりつつあるのは、生き甲斐という意味においても、いずれ世界的に進む高齢化社会に新しい突破口を作ったという意味でも、大きな意義を持ちます。これは将来の人類の生き方に大きな影響を与える出来事になるかもしれません。

【小早川】

高齢化の一方で少子化の問題も深刻です。急激な少子化で、社会の仕組みがどう変化するかわからないという人も多いんではないかと思いますが。

【麻 生】

今年はどうも出生率が上がりそうですね。これは、たまたま団塊の世代の子ども世代が結婚・出産の時期を迎えたからであって、一時的な現象だという説も有力です。しかし、一旦歯止めがかかったのは大きな出来事ですし、私は少子化傾向が底を打って転換点に達した兆候じゃないかと思っています。昨日も若いお母さん方と話をしましたら、ここ5、6年ぐらいの間に、保育所なんかの整備が進んできた、社会全体が子どもは大事だ、子育てをしている人を応援しようという暖かい雰囲気になってきたということを言っておられました。 その意味でも、我々はこの転換点を機に変わっていく努力をしなければいけません。

【小早川】

今年の大きな出来事と言えば、やはり安倍内閣の成立ではないですか?

【麻 生】

そのとおりです。と言いますのは、この内閣はずっと歴代の自由民主党政権ができなかったことをやろうとしているんですね。その一つは教育基本法の改正です。今の教育基本法は、端的に言いますと、人権や自由の大切さといった国際的・普遍的な価値を強調しています。これは、日本人が国際社会の中で発展するために非常に大切なことです。一方で、日本の歴史とか日本人としてのものの考え方を教えるようには書いてないんですよね。今回の改正内容をどう具体化するかについては、今後も検討なり議論が必要ですけれども、やはり日本人としての教育のあり方を基本から考えるという意味では、今年は非常に大きな転換の年です。

【小早川】

今年は外交、特に対アジア外交が大きく揺れた年でもありましたね。

【麻 生】

アジアの中でも、今後はますます対中国政策が大事になっていきます。安倍総理は就任後直ちに中国を訪問し、新しい日中友好の方向性について合意しました。これは非常に重要で意義のあることです。中国は今、経済的に猛烈に台頭してきていますが、依然として中国共産党の一党独裁体制であり、内部の言論の自由や人権は尊重されていると言い難いですし、軍備も増強しています。このままであれば、我々は非常に不安定であり、危険じゃないかという考え方のもとに、安倍内閣はオーストラリア、タイ、インドといった国々とも糾合して民主連合というものを作り、中国に対して民主化を求めていこうとしています。

【小早川】

福岡県にはいろんな商工振興策をとっていただきまして、我々中小企業は恵まれた環境下にあるわけですが、国の経済政策のスタンスはどうなんでしょう。

【麻 生】

安倍政権は明確に成長政策路線をとっています。バブル崩壊後の十年に膨らんだ借金を増税で消そうという議論もありましたが、少しでも経済が成長すれば、税収が上がり、失業者が減り、生活保護をはじめとする社会保障の支出も減るわけですから、その中で借金を吸収していこうという考え方なんですね。 いずれにせよ、今年はいろんな意味で大きな転換の年であったと思います。転換を経て、今後の日本がどうなるかは、政治的な、あるいは世界的な状況の変化にも左右されますが、長い歴史の中で見た場合、我々は今、明らかに正しい方向に向かっていると考えていいと思います。また来年、がんばりましょう。

【小早川】
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<聞き手>
(社)福岡県中小企業経営者協会
会長 小早川 明德 氏
(福岡産業振興協議会会長)

非常にすさまじい勢いで時代が変わっておりますが、我々中小企業は変わっている時代こそチャンスがあると常に思っております。心からの期待とともに新しい年を迎えたいと思います。


福岡県中小企業経営者協会
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