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中経協ニュース 2006年9月号

豊かな九州、存在感のある九州を目指して意識的な取り組みを。 そのために、できる限りすべての支援をやっていきます。

九州経済産業局長
 川口 修氏

先ごろ九州経済産業局長に就任された川口修氏は、福岡出身であるだけでなく、中小企業庁ほかさまざまな部局で豊富な経験を積んでこられた。中経協会員にとっても心強い存在である。その川口氏に局長としての抱負や中小企業に対するサポートの考え方と併せ、福岡の街づくりや九州の将来像についても語っていただいた。

川口局長.jpg
昭和31年福岡県生まれ。東京大学法学部を卒業後、昭和55年に通商産業省入省。米国コーネル大学大学院への留学をはさんで貿易局、通商政策局、生活産業局などでキャリアを積み、工業技術院、新エネルギー・産業技術総合開発機構、中小企業庁等に勤務。中小企業庁長官官房参事官を経て、平成18年7月から現職。
神 代 まず九州経済産業局長に就任されての抱負をお聞かせください。
川 口

福岡は私の故郷ですけれども、東京に長くいただけに福岡の街の美しさ、九州の自然の豊かさを改めて強く実感しております。この素晴らしい九州を経済的に少しでも豊かにしたいというのが私の抱負です。今の九州を引っ張っているのは自動車や電気・電子産業ですが、バイオ、環境・リサイクル、新エネルギー関係の産業も大きな可能性を秘めていますし、農林水産業を商工業と結びつけるあるいは観光を総合的な産業に育てるなど、九州を豊かにする道は無限にあります。その可能性を最大限発揮できるようなご支援を、私はできる限りやろうと思っています。

神 代

我々に直接関係のあるところでは、 平成18年度の重要施策として中小企業の新たな事業活動の推進ということを掲げてあります。これは具体的にどんなことが含まれているのでしょうか。

川 口

日本の中小企業は企業数にして99.7%、九州では99.9%を中小企業が占めており、日本経済を支えているのは、中小企業ですので、中小企業を施策の中心に据えるのは基本です。新事業は企業としての選択と集中が大切で、よく「やる気と能力のある中小企業を支援する」と言いますが、私は経営者の意識が最も大事だと思います。経営者の方には目の前にあるビジネスチャンスをどう経営に活かすかという意識を常に持っていただきたい。ただ、中小企業自体には金・人・モノなどが十分でないわけですから、それを補っていくところに行政の役割もあると思います。たとえば中小企業が単独でやるには限界がある時には、同業者間だけでなく異業種間の連携のお手伝いをする。モノづくりの力を高めていくのに必要となる人材の確保や育成や技術面では、経験豊かな人からアドバイスを受けられるような体制を作ったり、大学や高等専門学校などと中小企業との橋渡しをする。それから資金の面では、中小企業に対するサービスの充実を狙って、政府系金融機関の見直しや信用保証協会の活動の質を高めていくための措置を行っていますし、民間銀行や再生支援協会のバックアップも強化して参りたいと思っております。

神 代

平成18年度の重要施策には中心市街地活性化等の街づくりの推進もうたってあります。私の会社は天神の近くにありますが、天神ほどの繁華街でさえ、郊外型のショッピングセンターの進出に危機感を持って、将来の天神を考える協議会を作ったりしています。ましてや各県の各都市では、もっと中心市街地の空洞化は深刻でしょう。この問題についてはどういうことを考えておられるのでしょうか。

川 口

福岡ほど大きな都市を想定してはいませんが、 地方都市の一つのありようとしてコンパクト・シティという構想があります。これは無制限に広がる郊外開発型の都市ではなくて、今ある街の中のインフラを基本的に使い、それを再構築してコンパクトで住み良い都市づくりを行い、中心市街地に人のにぎわいを回復させるという構想です。もちろん、地方都市の中にはもっと過疎化が進んでいるところもたくさんありますので、そういった都市では少子高齢化対策をやるような商店街を援助するようなことも重ねてやっていきます。ただ、街づくりは強制してやるものでも、行政が示していくものでもありません。その道を決めていくのはそこに住んでいる方々です。天神の協議会のように関係者が集まって意見を出し合い、街のコンセンサスを作っていくのが一番大事だと思います。

神 代

福岡のご出身ということですが、改めて福岡の街を見てどんな印象ですか?

川 口

先ほどから私が、そこに住む人々が街づくりの方向を決めるのが大事だと強調しているのは、私が育った時の福岡市と今の福岡市に差を感じるからです。昔の街にはそこに住む人にもっといろんな関わりや共同体意識がありましたが、都市が大きくなるに従って住民の顔が見えなくなって、日本全国がミニ東京化してきています。しかし、福岡のような大都市も街の集合体ですから、今あるそれぞれの街のありようや街づくりの意識を大切にしながら、福岡らしさを最大限発揮した形で各地区の再開発・再構築に取り組む必要がありますね。

神 代

官から民へ、国から地方へという流れが少しずつ加速し、道州制の論議も活発化しています。九州が一つになった時、九州というブロックの持つ可能性には、川口局長の目から見てどのように感じられるでしょうか。

川 口

各県が連携して自動車産業あるいは観光客誘致に取り組んでおられる例もあるように「九州はひとつ」として、現時点でやれることをどんどん進めて、その中で九州としての単位が必要な場合には一つになればいいと思います。九州の可能性ですが、たとえば中国や韓国との近接性を活かせば、日本における対アジアのビジネス基地ともなれるでしょうし、北部九州が自動車や半導体の世界的生産地として成立する可能性もあります。ほかにも水素エネルギーや燃料電池関係の産業の中核として、あるいは石油原料に替わるバイオプラスチックやバイオエタノールなどの生産基地として、また都会の子どもたちが日本の良さを再認識できる自然体験拠点としての九州など、いろいろ考えられます。まず、今の九州にあるいろんな資源を最大限活用して豊かになるとともに、九州の顔を自分たちで考えて作って、九州の存在感を全国に発信していってもらいたいですね。私も中央の一極集中ではない多極的な日本の一つの大きな極として、九州が成長していくことを心より期待しています。

  
神代副会長.jpg
<聞き手>
(社)福岡県中小企業経営者協会
副会長 神代 昌幸 氏
(福岡建物㈱ 代表取締役社長)


福岡県中小企業経営者協会
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