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中経協ニュース 2010年1月号

九州の力と技術、資産を活かして
アジアのモデル地域を目指そう。

九州経済産業局長
橘高 公久 氏

経済・産業界には特に風当たりが厳しかった1年が過ぎ、世界を吹き荒れた不況の嵐もようやく息をつく兆しが見えてきた。デフレスパイラルや円高など先行きの不安要素が消えたわけではないが、新しい年が良い年になるよう期待したい。
2010年の日本、そして九州経済の成長戦略の柱とは?

広島県出身。1981年東京大学法学部卒業、通商産業省(現経済産業省)入省。通商政策局、貿易経済協力局、製造産業局などを経て、中小企業庁金融課長、内閣官房内閣参事官(政府関係法人改革担当)、大臣官房審議官(消費者政策担当)を歴任。2008年7月から九州経済産業局長を務める。

【小早川】

新しい政権がスタートして3カ月余りたち、新しい年を迎えました。本日は、局長の新年にあたっての抱負をお聞きかせいただきたいと思います。

【橘高】

ありがたいことに2回目の正月を九州で迎えることができました。1年目は大変な経済困難にあって、国も企業経営者の方と一体となってこれを乗り切ろうとした時期でしたが、九州経済は、皆さん、苦しい中でも次の展開をにらみながら頑張っておられるというのが、この1年間の印象ですし、当初懸念されていたような腰砕けの経済にはなっておりません。そこで2年目の今年は、九州が日本やアジアのモデルとなれるような戦略を地域の皆さんと共有し、トンネルの出口がはっきり見えるような道を作っていきたいというのが、私の年頭の抱負というか、心構えです。

【小早川】

そのための考え方、方向性はどんなものになりますか。

【橘高】

国として今後の成長戦略を考える時、まずデフレスパイラルをどう止めて、将来に安心感の持てる道筋を示すか、そして地域のアイデアを活かした地域活性化をどう進めていくかが課題となります。具体的な施策の方向性としては、第一に「地球温暖化をチャンスとした成長」。つまり日本の持つ技術力を活かして、環境、エネルギー、リサイクル関係の分野を大きな産業の柱とし、それで世界に打って出られるようにする方向性です。第二に「アジアとともに一体となった成長」。伸張著しいアジアをライバル視するのではなく、伸びていくアジアを取り込み、共にWin-Winで成長するということですね。第三が「国民が成果を実感できる成長」。これは地域をどう活性化していくかという問題になってきますが、地域にあるものを地域の人々が納得して活用し、地域でお金が回る仕組みを作っていくことが大事です。私は、それを真っ先に九州で実践したいと思っています。

【小早川】

その九州での実践というのは、具体的にどんなことをお考えでしょうか。

【橘高】

九州はすでに、環境、エネルギー、リサイクルの分野で日本のモデル地域になっています。これをアジアのモデル地域とするべく、さらに磨きをかけていくというのが一つ目の目標です。そうやって広くアジアをにらんだビジネスをしようと思えば、地域の地場産業がソリューション型企業、つまり問題解決型企業に育っていく必要があるし、ぜひともそうならなければなりません。九州はさまざまな産業集積があり、人や企業のネットワークが強いので、そういうソリューション型企業群を育成し、アジアへも展開していくというのが二つ目の目標です。それから、三つ目は農林漁業、小売業、建設業など内需型、地域密着型の企業に関することです。まず海外から観光客、そして研究者や留学生、ビジネスマンにも九州に来てもらうことが、経済や産業政策の観点からも絶対に必要です。それから、地域が持っている本物の価値を活かしたまちづくりをやっていきたいと強く思っています。九州には歴史や文化、多様な価値観などがしっかりと根付き、形のある物に限らず「本物」がたくさんあります。例えば、そういう地域に古いまち並みを復元して、次世代に残せるとすれば、建設、農林漁業、小売の人たちにも大いにチャンスが生まれるし、域内でお金が回るようにもなります。また、観光を中心とした人の交流が生まれ、歴史や文化を活かしたまちおこしや産業の活性化に十分につながると思っています。これは素晴らしい社会改造ですよ。

【小早川】

九州として取り組むような、アジアに対する施策はあるんでしょうか。

【橘高】

人を育てて人を活用し、人と交流するという施策はしっかりと実施していかねばならないと思います。ただ、九州はアジアとの近さや人の交流に対する歴史や意欲があるという強みを持つ一方で、現実には人の往来が韓国に偏り、せっかく受け入れた留学生を九州内で活用できていないとか、九州一体化のための組織や機運はあるのに、実際の活動場面はまだまだ少ないなどの弱みがあります。それを皆さんが意識すれば、意識した瞬間から対策がとれるんです。当局でも、人を育て、地域で活用して、アジア各国からたくさんの人が来るような地域づくりをすることを最重要課題として位置づけています。そのためにも、九州の人的ネットワークや人材育成拠点を活用して、地域の産業界との連携を一層深めていくのが一つの使命だと思っております。

【小早川】

それは私どもとしてもぜひ一緒にやっていきたいことです。どうぞ今年もよろしくお願い申し上げます。


<聞き手>
小早川会長
(社)福岡県中小企業経営者協会 会長
小早川 明德 氏




福岡県中小企業経営者協会
福岡市博多区博多駅前2-9-28福岡商工会議所ビル1F
TEL092 -451-8593 FAX092-451-9379