中経協連合会 会長挨拶

会 長  小早川 明德

埼玉大学名誉教授
長谷川 三千子 先生への手紙

拝啓 博多は祇園山笠の季節を迎え、街々には色どりも鮮やかな飾り人形が山車の上で見物の市民を見守っています。その人形の一つ一つにその地域の希いや想いが凝縮されているような感じが伝わって参ります。
 今春4月の沖縄における九州経済フォーラムの記念事業「どうする日本、どこへいく日本」では、長谷川先生の御講演の一言一言に私共の心は強く揺さぶられ、霧を晴らすような清々しいエネルギーを与えられた感じが致しました。
 その中でも最も強烈に響いたのは、大東亜戦争末期、沖縄が焦土と化しても多くの犠牲者を出して戦ったにもかかわらず、敗戦となって、結果的に本土決戦が回避されたため「覚悟と苦難の共有」が欠落してしまったことで、戦後の沖縄と本土の精神的ギャップが生じたとのご指摘でした。とりわけ、米国との講和条約発効後において憲法の恢復(自主憲法の制定)にも手を付けず、旧敵アメリカのもとでの生活を強いられることとなった沖縄返還の遅れなどもあって、わが国の主権回復もあいまいとなり、今日の混乱を引き起す大きな要因となったことに気づくことができました。いろんな面で、原理原則をないがしろにした戦後の国家指導者の負の遺産を国民が背負うこととなり、指導者としての判断の影響の大きさと決断の難しさを教えられています。
 また、今回の記念事業をご支援頂きました沖縄経済界12団体のリーダーの皆様が、長谷川先生の「覚悟と苦難の共有」の意を受けられ、何と、あれから2ヶ月後には東北3県に、2泊3日の東日本震災被災者応援ツアーを実施され、130余名の方々が参加されたそうです。先生の歴史を直視された真実の心と本質に対する洞察の深さが沖縄の人々の心を動かした―今の政治家や経済界教育界のリーダーの言葉に先生ほどの重みがあれば、迷走する日本も再生できる―私は、改めてそう確信し新たな勇気を与えられました。
 実は、お世話になりました沖縄事業の御礼に、先週2日間沖縄を訪問致しました。その折、訪問した先々で各組織の幹部の皆様から異口同音に今回の事業に対する高い評価と本土との精神的絆の深まりを得たとの喜びを感じることができました。そして、改めて沖縄県民のリーダーの皆様方の精神性の高さを認識させられました。
 このような有意義な事業を継続することによって、わが国は民族としての同胞意識が回復され健全な国家に生まれ変れることが可能なのだと知らされ、ご報告旁々重ねて御礼申し上げたく筆を執った次第であります。
 やがて梅雨が明け本格的な夏の季節となって参ります。長谷川先生におかれましては愈々ご壮健にて国家再生のためご活躍賜らんことを心から祈念申し上げ筆を置かせて頂きます。本当に有難うございました。

敬白

平成23年7月
社団法人福岡県中小企業経営者協会

会 長 小早川 明德