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米国のリーマンの破綻に端を発した世界同時不況。100年に1度といわれる大不況の実態は、100年に1度の人間不況であり、投機的金融ビジネスに明け暮れ、実体経済を軽視した金融界の人災不況、正義感・使命感、あるいは哲学の欠如による精神不況でもある。
そういう中で、連日のマスコミによる深刻な雇用不安・生活不安のキャンペーンと経営陣への鋭い目線の報道を見るにつけ、大手企業のアメリカナイズされた経営や雇用形態が常態化しつつある現在でも、当事者が意識するか否かにかかわらず、雇用する者と雇用される者の関係性においては、今尚、日本人の中に終身雇用のDNAが脈々と受け継がれていることを見逃すことはできない。それにしても気懸かりなことは、報道が故意に経営者と従業員の関係を対立させ、殊更、国民の不安と不信感情を募らせ、経営者は身勝手で自己中心的な人間であるとして孤立させ、企業は冷徹非道の亡者のごとき印象を作り出そうとしているように見受けられることはいかがなものだろうか。
視点を変えて雇用と生活、その表裏をなす経営に目を転じてみると、昨年は食品の薬物混入、輪入牛肉の和牛偽装、三笠フーズの事故米の不法転売などたくさんの事件や事故があった。これらは、一部経営者のモラルハザードによるものであり、経済界が社会に対して失った信用と支払った代償は余りにも大きかったのではないか。信用を築き、信頼を培い、信義を重んじ、人格を評価されてこそ、はじめて経営者として認知され、その役割を果たすことができる。考えてみると、日頃から旺盛な事業意欲に裏打ちされた経営者の存在が「地域力」「生活力」の源泉となる「雇用」を創出しているという事実、この地域を支える企業なくして「雇用」は大きく期待できないという原点に戻って冷静に対応していかねばならないのではないだろうか。
さて、中経協は、本年で創立35周年を迎えることになる。会員の皆様をはじめ、これまでご支援・ご指導頂いた方々にあらためて心から御礼申し上げたい。
中経協創立35周年を迎え、次なる中経協の展望を考えるにあたり、まず中経協の35年の歴史を明らかにしていこうと思う。中経協35年の歴史を語ることは、この35年の歴史を作った人々に光を当てることである。そして、私たちは、その歴史を作った人々を通じて、その人々の「志」や「葛藤」を浮き彫りにして、後世に伝えていくことをこそ使命とするものである。
昨年6月、東アジア放送作家カンファレンスで脚本家の一人が、「歴史上の人物に光を当てることは、その人物の生命を再びよみがえらすことに他ならない。」と語った。歴史は生命を紡ぐ。それは、家でも地域でも国家でも一緒である。中経協も歴史を紡いだ人を語り、その「志」に学び、未来を切り拓いていきたい。
そんな中で中経協は「九州」を創ることを視野に新たな第一歩を踏み出そうとしている。中経協の会員の視点からみると、単に九州各県に営業エリアを拡大することだけでなく、九州各地から福岡に集まる企業群への商圏の拡大を意味する。企業への新しいステージの提供は、新しい可能性への挑戦の始まりでもある。
現在、九州における道州制の論議が盛んに行われているが、道州制を語ることは、即ち、九州の歴史に学ぶことである。それは、九州を創った人に光を当てること、すなわち、その人々の「志」を明らかにすることである。今後、道州制の論議の中心には高い「志」が求められる。その「志」が同胞意識を育み、九州の「希望」を生むだろう。中経協は、その熱いおもいを抱いて「九州」を考えていきたい。
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